専門家の視点を、愛され商品のヒントに。"甘くておいしい"十勝の「低糖質」おやつ
帯広市大正町に工房を構える「晴cafe」。十勝の生産者から直接仕入れた大豆や全粒粉を使用し、体に優しくてちゃんと"甘い"、低糖質のお菓子を製造、販売しています。始まりは、代表の景山さんが「糖尿病予備軍」と診断され、営んでいたカフェの閉店を余儀なくされたことでした。「糖質制限に苦しむ方や、その家族にも楽しんでもらえる、甘くておいしい低糖質おやつを作りたい」。同じ想いを持った景山さんと安久澤さん、二人三脚で「低糖質おやつの商品化」への挑戦が始まりました。
「想いはあっても、メーカーとしての経験はありません。マーケティングの知識もなく、右も左もわからない状態からのスタートでした。そのとき、帯広信金さんがマーケティングの相談会を開いていると聞き、参加することにしました」と景山さんは振り返ります。景山さんが参加したのは、帯広信用金庫が主催する『オフィス内田相談会』。元東武百貨店のカリスマバイヤー、内田勝規さんから、商品開発や販路開拓に関するアドバイスが受けられる個別相談会です。
「『まずは自分で立ち売りしなさい、お客様が課題を教えてくれる』という内田さんの言葉に従って売り場に立つと、まさにその通り。既存のパッケージでは、お客様に伝えたいことが伝わっていなかったことや、お客様が、メーカーにとっては想定外の食べ方・楽しみ方をしていたことなど、商品を売るヒントがたくさん出てきました」と安久澤さん。
さらに、商品自体のおいしさとコンセプトに将来性を感じた内田さんからの勧めで、北海道が主催する「北のハイグレード食品」にも挑戦。一度は落選してしまいましたが、お客様が買いたくなる商品名やパッケージに変更、豆類など十勝産の素材を集め、十勝らしさをより引き出す配合に見直すなど、何度も改良を重ねた結果、2019年に「とかち大豆のグラノーラ(豆ミックス)」が、念願のハイグレード食品に選出されました。
「北海道から品質のお墨付きをもらったことで商品の信用度が増し、取引先が増えました。私たちのような小さな事業者にとっては、販路開拓の強い味方になっています。直近ではシンガポールでの販売の提案もいただきました。最初は右も左もわからない状態でしたが、内田さんにマーケティングについて教わったおかげで、次の一歩を踏み出すことができました」。
最近では、大豆をまるごと使った「とかち大豆まるごとミート」、乳酸菌・オリゴ糖配合の健康おやつ「とかちSOYナッツ」を開発。素材と味にこだわった、体に優しく食べておいしい、晴cafeらしい商品ができました。
「内田さんの助言もあり、低糖質おやつに限らず、もっと幅広い層に関心をもってもらえる商品づくりをすることになりました。ようやく形にすることができたので、今後は商談会に力を入れていきたいと考えています。雑貨店でも、こだわりの食品類を販売する動きが出てきているので、私たちの商品を通して、豆を取り入れた健康的な暮らし、ライフスタイルそのものの提案ができたら嬉しいですね」。
地元の障がい者支援施設にも原料加工を委託するなど、体にも社会にも優しい、晴cafeのおやつ。お客様の声を聞き、暮らしを彩る商品を作る、晴cafeの挑戦はまだまだ続きます。
≪晴cafe合同会社≫ ホームページはこちら
北海道帯広市大正本町西1条3丁目4-1
≪オフィス内田相談会≫
商品の開発やブラッシュアップ、販路開拓や効果的な販売促進など、プロの視点からのアドバイスがいただける相談会です。相談料は無料、帯広信用金庫とお取引のない方でもお申込みいただけます。
アドバイザー:株式会社オフィス内田 会長 内田勝規
東武百貨店に入社後、同社の北海道物産展の売上を日本一の年間売上を誇る物産展に成長させ"奇跡のバイヤー"と呼ばれる。2010年に独立し、株式会社オフィス内田を設立。「地域を元気に!」をモットーに、現在も全国各地の自治体や民間企業のアドバイザーや役員を務める。