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つくり手の想い とかちの味力 技術・魅力にせまる

Vol.1 十勝のじゃがいも

Vol.1 十勝のじゃがいも

多様な品種、熟成、オーガニック・・選ばれる理由は進化しつづけること。
十勝でじゃがいもを育てている、それぞれの生産者のこだわりに迫ります。

Episode 02 美味しくて安全、大規模オーガニック栽培「さやあかね」

食卓を支える農業=十勝の役割

日本の食卓を支える農業。中でも有数の畑作地帯である十勝が担う役割の1つは「大規模オーガニックの推進である」と考える折笠健(おりかさ ますらお)さん。
生産規模は総面積95ha、その内有機JAS認証の畑は33.5ha、その名の通りの益荒男(ますらお)ぶりで常に新しいフィールドを開拓しています。

person-orikasafarm-1.jpg眼光鋭く、一見こわもて!?かと思いきや、ひとたび心を許すとオーガニック農業への熱い想いがあふれ出てきます。その内容は、実績や調査に裏打ちされた事実情報が多いのが特徴。示唆に富みユーモアたっぷりの語り口調の中にも、常に根拠を求められてきた大規模オーガニック農場ならではの苦労の軌跡が浮かび上がります。

北海道は食べ手を無視してモノを作らないで欲しい

折笠家の歴史は挑戦の歴史でもあります。明治42年、折笠久治郎氏が福島県相馬市から入植し3代目までは開墾・農地開拓を手掛け、4代目は志を共にする生産者とネットワークを組み関西エリアを中心に独自の販路を開拓、そして今、5代目となる折笠健さんは大規模オーガニック農業に挑戦中です。

きっかけは2002年、自然栽培の第一人者で無農薬・無施肥のリンゴ栽培に成功した奇跡のリンゴ・木村秋則氏が折笠農場を訪問したことでした。木村さんは畑に立ち「折笠くん山を見てごらん、肥料を与えなくても毎年山菜が生えてくるよ」と言いました。なるほど自然の摂理にのっとった物づくりをすれば、畑にも作物にも負担が少ないのだと学びました。
また当時で3万人、今では100万人ともいわれる化学物質過敏症の方に対し「北海道はそれを無視して作らないでくれ」とも言われました。これがきっかけとなり、常に食べ手(お客様)をイメージした物作りがはじまりました。さらに、どんなに良いモノであっても高すぎては食べ続けられない、価格競争力が重要です。折笠さんは「大規模農業を行っている十勝には責任がある」と考え、2003年から大規模オーガニックへの挑戦をスタートしたのです。

【▼木村秋則氏(左)と折笠さん(右)】

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ホクホクして甘いオーガニックジャガイモ「さやあかね」の誕生

安全を担保するため、有機JAS管理制度の下で無肥料自然栽培を行う折笠農場では、まず「品種選抜」が行われます。「病害虫に強く、収量が確保でき、味が美味しい」この3つをかなえる品種と出会うために、土壌学・種苗専門家などプロと一緒に約40種類ものジャガイモを試験栽培してきました。また消費者に協力してもらい官能検査を実施。ポテトサラダ、コロッケなど細目を分けて調査し、生産効率だけでなく「美味しい」とお墨付きを得た品種が「さやあかね」です。でんぷんの量が比較的多く、ほくほく。口当りもよく甘みがあると評判です。

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惜しみなく教える、待つ人のために

折笠農場の特徴に1つ付け加えたいことがあります。それは「決して成果を独り占めしない」という利他の精神です。苦労して試験栽培したノウハウを、本気で学びたい農家に伝授しています。「誰もが農薬は仕方なくかけている。一般的なジャガイモで10回ほどかけるが、これが半分以下で収まる品種が目の前にあったら、多くの農家がやりたいというはずだ」と折笠さんは言います。この思いから2021年、十勝オーガニック振興会に設立メンバーとして参画。オーガニックを実践する農家はもちろん、転換中の農家や、切り替えを検討している農家など多種多様な参加者70名が集まり(2022年11月末現在)、交流・研鑽が行われています。

近年は農作物の加工品にも挑戦し、原料栽培から生産までを手掛ける「純国産オーガニックマスタード」は2021年北海道加工食品コンクールで北海道知事賞を受賞。
すべての原動力は「待っている人の選択肢を増やすため」「美味しい笑顔のため」と折笠さんはニッコリ笑って話します。

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おすすめレシピ

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さやあかねのマッシュポテトグラタン

「さやあかね」は熟成された濃厚な甘味が出ますが、重たくはならずあっさりと上品な味わいが特徴です。料理の向き、不向きもあまりなく、普段のじゃがいも料理の味わいがワンランクアップします。

加熱するとしっかりとじゃがいもの香りが出るので、マッシュポテトにするとじゃがいもの味わいが口いっぱいに広がります。牛乳でのばすだけの簡単レシピですが、滑らかでクリーミーに仕上がります。今回のように炒めた野菜の上にかけてグラタン風にすると、材料はシンプルですが、じゃがいもの香りと滑らかさで満足感のある一品になります。

<材料> 2人分
熟成さやあかね
2個(約160g)
キャベツ
200g
ベーコン
40g
牛乳
90ml
バター
15g
ピザ用チーズ
40g
オリーブ油
小さじ1
小さじ1/3
黒こしょう
少々

<作り方>

(1)

熟成さやあかねは電子レンジ(500w)で4~5分ほど加熱し、粗熱を取ったらすぐに皮をむいてつぶす。バターを加えてなじませ、全体がなめらかになるように混ぜる。

(2)

牛乳を少しずつ加えてのばし、ホワイトソース程度になるまでゆるめ、塩、黒こしょうで味をつける。

(3)

キャベツは太めの千切りにして塩少々(分量外)を振って軽くもみ、5分おく。しんなりとしたらぎゅっと水気を絞る。ベーコンは1.5cm幅に切る。

(4)

フライパンにオリーブ油を熱し、(3)のキャベツ、ベーコンを入れてさっと炒める。味を見て必要であれば塩(分量外)で味を整える。ベーコンの塩気でキャベツにも味がつくので必ず味見をしてから塩を加えてください。

(5)

薄く油を塗った耐熱皿に(4)のキャベツとベーコンをのせ、(2)のマッシュポテトを広げてピザ用チーズをふる。オーブントースターやグリルなどで表面のチーズが溶け、焼き色がつくまで焼く。


ともながあきよ さん

フードコーディネーター/日本茶アドバイザー

"「食」で日常を最高に豊かに"を軸に、Web媒体、新聞、フリーペーパーを中心に料理スタイリング・レシピ作成に従事し、携わったカタログ・会員誌は200冊近く。ほっとする家庭的なフードスタイリングを多く手掛ける。また、食品メーカーでの調理指導・レシピ作成指導を4年担当し商品の魅力を最大限に広げるアレンジレシピに定評がある。

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