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つくり手の想い とかちの味力 技術・魅力にせまる

Vol.1 十勝のじゃがいも

Vol.1 十勝のじゃがいも

多様な品種、熟成、オーガニック・・選ばれる理由は進化しつづけること。
十勝でじゃがいもを育てている、それぞれの生産者のこだわりに迫ります。

Episode 03 19軒の農家が作り出す、多品種ジャガイモ

農家直営 卸売業「なまら十勝野」

なまら十勝野の名前には、「とびきりおいしい野菜を全国に届けたい」という意味が込められています。「なまら」は"とても"という意味の北海道弁。これに"十勝"と、野菜の"野"を組み合わせ「なまら十勝野(とかちや)」と読みます。19軒の農家が参画し、合計600haの畑で約30品目の野菜を栽培しています。

中でもジャガイモは、男爵、メークインなど一般的なものから、キタアカリ、北海こがね、とうや、インカのめざめ、ノーザンルビー、はるか、さやかなど多様なラインナップが揃う自信作です。品種の多様さに加え、真の魅力は「食べ比べ」による情報共有とおいしさの追及にあります。毎年各農家が作ったジャガイモを持ち寄り、メンバーで食べ比べを実施。自分が作ったジャガイモだけを食べていた時にはわからなかった、甘味、香り、食感の違いを感じ、どうしてこの味になったのかを率直に質問し、情報を共有しています。これにより糖度などの数字だけでは測れない「おいしさ」について、農家自身が食べて、考えて、来期に活かすサイクルを繰り返しています。

まさに農家のこだわりと研鑽がつまった、「なまらうまいジャガイモ」です。

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100年続く組織を作る、理念と4つの基準。安心の見える化を。

国の農業政策が大きく変わろうとしていた2007年、「このまま何もせずにいると経営環境は厳しくなる」と考えた小山勉さんは、仲間に声をかけ、直販や加工品販売を行っている農家を視察して回りました。そして「なぜ農家は食品メーカーのように自分たちで値段を決められないのか?」「自分たちで価格決定権を持たないと経営が安定しない」と強く思ったと言います。もちろん自分で価格を決めるということは、それだけお客様に対する責任が重いということでもあります。しかし、そのリスクを負ってこそが経営であると考えました。

そんな矢先、地元のスーパーマーケットから「地場産野菜のコーナーを作るからやってみないか?」と声がかかりました。これがきっかけとなり、2007年に任意団体として直販をスタート。その後、2016年に小山勉さんを代表とした農家直営の卸売業、株式会社なまら十勝野が設立されました。

設立に際し掲げたミッションは「日本の農業を良くしたい」「なりたい職業NO.1を農業に」。
そのミッションを実現するため「安心・安全・美味しいを当たり前にしよう」と、なまら十勝野の独自基準を下記のように決めました。

(1)微生物を守るため土地消毒をしない

(2)農薬、化学肥料は必要最小限とする

(3)メンバー全員がJGAP認証を取得して安全を見える化する

(4)健康な野菜作りの研究・実践を続けおいしさを追求する。

「理念と基準を明確にすることで、メンバーが変わっても100年続く組織を作ることができる」と小山さんは語ります。

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大切にしているのは情報発信と人とのつながり

なまら十勝野に参加する農家は、農業以外に1.食育、2.BtoB(卸業)、3.BtoC(マルシェ、飲食店、EC)、4.情報発信のいずれかのグループに所属して活動をしています。特に力を入れているのは「情報発信」。その理由は、安心の可視化です。
安全はJGAPなどの仕組みで見える化できますが、安心は目に見えるものではありません。そこで農家が直接情報を発信し、リアルな畑と農家の今を届けていくためSNSを毎日更新。また、マルシェ等のイベントにも積極的に参加。飲食店への卸も、直接お客様からのお声を聴くことができる貴重な機会と思っているのだと言います。

なまら十勝野は人と人とのつながりを大切にしており、バイヤー、飲食店、消費者のみなさんは自分たちの代わりに発信をしてくれるパートナーととらえています。「十勝の野菜を選んでいただくこと、食べていただくことで応援してもらっている」と小山さん。是非、十勝に来て畑を見ていただきたいと話します。

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グループの強みを活かして新品種に挑戦

「十勝には挑戦する土壌があります」と小山さん。なまら十勝野の強みはフロンティアスピリットと多様なメンバーの参画にあり、常に新しい作物への挑戦を行っています。

例えば、お客様からご相談を受け、昨年から取り組んでいるサツマイモは5軒の農家で試験栽培を行い、そのうち2軒が成功しました。メンバー間で成功と失敗の要因を分析し、栽培情報を共有。複数の農家で試験栽培を重ねて行うことができるため、ノウハウ獲得・品質向上のスピードが格段に上がります。

また、キャベツ・レタスなど新規作物は、農機を揃えると費用負担が大きくなってしまうため、会社が農機を保有して貸出しを行っています。単独の農家で行うよりも参入障壁が格段に下がり、取り組みやすい工夫をしているのです。組織化することで、参加メンバーは挑戦する楽しさに改めて気づいたと言います。
「これからも十勝の農地を守り、次世代につなげていけるよう、新たな取り組みにチャレンジしていきます」と小山さん。こんな野菜が、品種が欲しい...など、どんどんお声がけいただきたいと力強く語ります。

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おすすめレシピ

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4種食べ比べ・じゃがいものひき肉蒸し

滑らかさや甘み、コクなどそれぞれ特徴がある4種のじゃがいもを食べ比べられるレシピとして、「じゃがいものひき肉蒸し」を選びました。蒸すことでそれぞれのじゃがいもが持つ味わいが出ます。ひき肉ダネの旨みやコクも加わりボリュームも出て主役級のおかずにもなります。4種のじゃがいもの違いを味わいつつ、好みのじゃがいもをぜひ見つけて下さい。

<材料> 作りやすい分量

北海こがね
1個
メークイン
1個
キタアカリ
1個
インカのめざめ
2~3個
※じゃがいもはそれぞれ、100g前後を目安にしています。
豚ひき肉
200g
玉ねぎ
100g
片栗粉(玉ねぎに使用)
大さじ1
小ネギ(トッピング用)
適量

【A】

砂糖
小さじ1
4g
こしょう
少々
大さじ1・1/2
ごま油
小さじ2

<作り方>

(1)

北海こがね・メークイン・キタアカリは皮をむき、縦に3等分(厚みが約1.5cm)、インカのめざめは皮つきのまま半分に切り、5分ほど水にさらす。水気を拭いて、片栗粉(分量外)を振りかける。

(2)

玉ねぎはみじん切りにし、片栗粉をまぶしておく。

(3)

ボウルにひき肉、【A】を入れ、粘りが出るまで混ぜたのち、(2)の玉ねぎを加えて混ぜる。

(4)

(1)のじゃがいもにひき肉を15~20gずつのせる。※今回、インカのめざめには15g、その他のじゃがいもには20gのせています。

(5)

耐熱皿にのせ、蒸し器やセイロで、強火で10分蒸す。じゃがいもにすっと竹串が刺さり、ひき肉から透明な汁が出ていたら蒸しあがり。最後に小口切りにした小ねぎをちらす。


ともながあきよ さん

フードコーディネーター/日本茶アドバイザー

"「食」で日常を最高に豊かに"を軸に、Web媒体、新聞、フリーペーパーを中心に料理スタイリング・レシピ作成に従事し、携わったカタログ・会員誌は200冊近く。ほっとする家庭的なフードスタイリングを多く手掛ける。また、食品メーカーでの調理指導・レシピ作成指導を4年担当し商品の魅力を最大限に広げるアレンジレシピに定評がある。

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