Vol.2 十勝の牛肉
味にも肉質にも妥協しない・・最高の牛を育てる秘訣は、牛とまっすぐ向き合うこと。
日々愛情を込めて牛を育てる、生産者のこだわりに迫ります。
Episode 02 オーダーメイドの牛肉を目指して
生産から販売までをトータルで手掛ける
「もっと牛を知りたいと思う」佐々木畜産のホームページで最初に飛び込んでくるこの企業スローガンには、とても深い意味があります。
佐々木畜産は、昭和23年に設立されました。初代社長の時代から、牛とともに歩んで75年。牧場経営から家畜や家畜飼料の輸送、たい肥製造、枝肉・精肉加工、販売・流通までをグループで手掛けています。「生産から商流まで」をテーマに掲げ、年間1万頭の牛を牛肉になるまで取り扱います。川上から川下まで牛肉のフードチェーンをトータルで取り扱う会社は、日本の畜産業界において稀有な存在なのです。
そんな佐々木畜産だからこそ見えてくる「牛との向き合い方と感謝の気持ち」を大切にしながら、「おいしい牛肉とは何か?」を常に問い続けています。
「1頭ずつ異なる牛の個性と向き合うことが大切。"まだ知らないことがある"という地点に立てば、さらに進化を遂げられます。まずは常識を疑うことからはじめたい。会社として牛のプロフェッショナルを目指している僕らは、まだまだ牛を知らないのです」と佐々木社長は語ります。
「おいしい牛肉」とは何かを追求し続ける
東京・芝浦に出荷・上場している「十勝四季彩牛」は、佐々木畜産のオリジナル交雑種ブランド。2004年には、全国肉牛枝肉共励会のF1(交雑種)部門でチャンピオンを獲得。そのように古くから高評価を得ている「十勝四季彩牛」で、北海道産牛肉のブランドイメージを築いてきたという自負があります。
そんな佐々木畜産の次なる目標は「飼料の北海道・十勝産比率を高めながら、おいしい牛肉を作っていくこと」。
最新の農林水産省のデータ(令和3年度)では、牛の飼料の国産比率はわずか25%。特に配合飼料(注1)の国産率はわずか13%です。「おいしさ」にこだわりながら、地場産飼料への転換することは、決して簡単ではありません。しかし、地産地消を進めることで、世界の様々な情勢に左右されることなく、めざす味の牛肉を安定的に作ることができます。すでに、地元産の飼料へのシフトは始まっており、白樺を使った飼料は生育も良く、肉の味にもよい影響が出ていると評判です。
日本の食糧基地・十勝だからこそ手に入るエコフィード(注2) はもちろん、今後視野に入れていきたいのは規格外野菜や農業残渣などを使った飼料の開発です。どの工程も、まずは自社の牧場でテストを行い、お肉になるまでを管理し、データを取ることができるのが最大の強みです。
注1: トウモロコシや大豆、麦、ふすま、粕類など、種々の原料を配合・加工して、栄養素が調整された飼料のこと
注2:食品残さ等を利用して製造された飼料。食品リサイクルによる資源の有効利用のみならず、飼料自給率の向上等を図る上で重要な取組み
佐々木畜産が目指す牛のプロフェッショナルとは?
畜産業界はこの数十年、輸入自由化、BSE、口蹄疫、ユッケ集団食中毒事件など業界を揺るがす大きな問題が次々と起こりました。さらに金融危機や震災・災害・コロナなど社会全体の不安定要素も相まって、苦労の連続でもありました。
佐々木社長はこの課題に対し「畜産業界(牛の業界)はこの30年あまり、なんとか存続してこられたというのが実情。消費環境の変化にまでフォローできてこなかった、という課題があると感じている。畜産の将来を見据えた変革を進めなければならない」と考えています。
牛のプロフェッショナル集団を目指す佐々木畜産が考える"牛のプロ"とは「味を作れる人」。
現在、牛の価値基準は牛肉取引規格(注3)で定義されています。よく耳にする"A5ランク"などがこれに該当します。この結果として、霜降りや歩留まり重視の肉に偏ってしまうことは避けられません。「あくまで作り手側の志向になってしまっているのではないか?」と疑問を呈します。
「消費者が真に求める牛肉の味とはなにか?求められている牛肉を実現するために血統、飼い方(環境)、飼料などの要素を組み合わせ、加工まで含めたオーダーメイドの牛を作りたい。佐々木畜産では、そのための実験を2023年の秋からスタートします。また、最終的に料理になる時の提案も視野に入れ、牛肉のおいしさの価値基準を科学的に分類し、カットの仕方や料理の提案までをしていきたい」と佐々木社長は話します。
食卓に寄り添うおいしいお肉づくりこそが、佐々木畜産の目指す未来です。
注3:牛肉取引規格は、歩留等級と肉質等級によるもの。詳細な情報はこちらを参照:牛枝肉取引規格|日本食肉格付協会(JMGA)
おすすめレシピ
十勝四季彩牛もも肉のローストビーフ ヨーグルトソース添え
一般的には脂身が少なく肉質がしまっているイメージのもも肉ですが、こちらのもも肉は程よくサシが入っておりローストビーフが柔らかくふっくらと仕上がります。フライパンで作る簡単ローストビーフですが、一緒に蒸しあげる香味野菜の香りと肉の香りが相まって風味豊かな味わいです。人が集まる時に気軽に作ってみてほしい1品です。
<材料>
- もも肉ブロック
- 400g
- 玉ねぎ
- 1/2個
- セロリ
- 1/2本
- にんにく(※つぶしておく)
- 1個
- ローリエ
- 1枚
- 塩
- 小さじ2/3
- オリーブ油
- 大さじ1
- 酒
- 大さじ2
- 無糖ヨーグルト
- 200g(水切り後100g)
- ※(下ごしらえ)キッチンペーパーをしき、ヨーグルトを入れ半日~一晩おく
- にんにく
- 5g
- 塩
- ひとつまみ
- レモン汁
- 小さじ1
- 黒こしょう
- 少々
- ベビーリーフ
- 適量
- グレープフルーツ
- 1個
<作り方>
(1)
- 牛肉は塩をすりこんでラップで包み、室温に1時間おく
(2)
- 玉ねぎを1cmのくし切り、セロリは葉を切り分け、1cmの斜め切りにする
(3)
- フライパンにオリーブ油を中火で熱し、(1)の牛肉を入れ、1面につき1分ずつ焼き、全体に焼き色を付けて取り出す
(4)
- 肉を焼いた後のフライパンに、玉ねぎ、セロリ、にんにく、ローリエを入れ、牛肉をのせて酒をかける。蓋をして弱火で5分蒸し焼きにし、肉の上下を返して再度蓋をし、さらに7分蒸し焼きにする
(5)
- アルミホイルを2枚重ねて広げ、牛肉をのせて包み、さらに布巾で包み、室温で1時間おいて肉汁を落ち着かせる
(6)【ヨーグルトソース】
- 水切りヨーグルトに、すりおろしたニンニク、塩、レモン汁を加えてよく混ぜる
(7)
- (5)の肉を好みの厚さに切り、(6)のソースを添えて黒こしょうをふる。ベビーリーフ、グレープフルーツを添える。
ともながあきよ さん
フードコーディネーター/日本茶アドバイザー
"「食」で日常を最高に豊かに"を軸に、Web媒体、新聞、フリーペーパーを中心に料理スタイリング・レシピ作成に従事し、携わったカタログ・会員誌は200冊近く。ほっとする家庭的なフードスタイリングを多く手掛ける。また、食品メーカーでの調理指導・レシピ作成指導を4年担当し商品の魅力を最大限に広げるアレンジレシピに定評がある。
